医療法人社団 森と海 東京蒲田病院 理事長の井上直人です。平成24年9月にJR蒲田西口に病床数180床の新病院が誕生しすでに12年が経過しました。
年を追うごとに、地域医療に根差した皆様に愛される病院になってきたと実感しております。
当院の診療の特徴は、総合内科、循環器、泌尿器、糖尿病代謝、整形外科、人工透析の成人病部門であります。生活習慣の欧米化に伴い、動脈硬化を促進する高血圧症、高脂血症、糖尿病を抱えている患者さんは増え続けています。また動脈硬化は全身疾患であり、脳血管、心臓、腎臓、足の動脈などさまざまな臓器に生じてまいります。それらを総合的に管理できる病院であります。最新のCT、MRI、超音波装置で動脈硬化をスクリーニングし、血管治療のエキスパートが治療にあたり、糖尿病代謝科の医師が全身管理し、腎機能悪化症例に対しては人工透析も充実しています。整形外科においては、関節および脊椎のエキスパートが揃い、令和5年より開始した脊椎外科では神経モニタリング、マッピングシステムを駆使してハイレベルな治療を展開しています。
平成28年10月より東京都CCUネットワークにも加盟することが承認されました。大田区では4番目の加盟施設になり循環器疾患の急性期治療に積極的に取り組んでおります。また、末梢血管障害(PAD)の治療、不整脈に対するカテーテルアブレーションには本邦を代表するエキスパートを招聘し治療を行っています。さらに、平成30年8月からは心臓血管外科の手術が開始され、これも日本を代表する心臓外科医である東京女子医大の新浪博士教授が執刀しております。
もう一つの当院の特徴として、地域包括ケア病棟、療養型病棟を併設しています。地域包括ケア病棟では急性期病棟で急性期治療を終えた患者さんの介護施設や在宅への復帰を支援しております。また、療養型病棟におきましては専任の医師が管理し、患者さんには上質のアメニティーを提供しています。
当院は診療所、他の病院と密接な連携をとり入院診療に特化した病院を目指しております。入院治療が必要な時には当院で集中的に治療させていただき、その後の通院は診療所の先生方にお任せする完全に機能分化ができた病院であります。ご開業の先生方の患者さんが急変された場合の対応、特別養護施設、老人ホームの患者さんの急変時にも対応させていただいています。このような「分担と連携」は当院の基本方針であり、夢のある病院を実現すべく職員一丸となって頑張っていく所存です。
どうぞ宜しくお願いいたします。
院長に就任して7年が経ちました。昨年度は今までの循環器疾患診療に加えて、整形外科と高齢者医療の充実をテーマに取り組んでまいりました。整形外科は米澤医師が常勤となることで新たに脊椎疾患診療が始まり、週2回の脊椎疾患手術日をフル稼働させるまでになりました。もちろん大腿骨頚部骨折といった外傷疾患も今まで以上に対応し、手術も充実させています。さらに昨年にはMRIを新設し、連日多くの患者さんのより質の高い診断のために活用されています。
高齢者医療は現代社会の大きな課題です。当院は在宅診療や高齢者施設との連携が強いので、これまで以上に多くのご高齢患者さんにご入院いただくようになりました。ご高齢の方では誤嚥性肺炎、心不全、脱力・脱水、腰痛・圧迫骨折、転倒・骨折が多く、これらすべてに対応しできる限り短期間での改善を目指して治療に取り組んでいます。認知症の方でもストレスがかからないように、多職種でより効果的に治療するよう努力しています。もちろん入院期間が長引くケースもありますが、その場合にはフレイル・サルコペニアの予防・改善のため地域包括ケア病床でリハビリや栄養指導の強化といった、さらに質の高い高齢者ケアを行うことを心がけています。
加えて循環器科では、狭心症・心筋梗塞、不整脈、心不全、末梢血管疾患といった疾患を多数診療しています。特に最近では、原因不明の胸痛の原因として注目されている『INOCA(虚血性非閉塞性冠動脈疾患)』の診断・治療に注力しており、都内外から多くの患者さんが受診されています。INOCAを確定診断し効果的な治療に結びつけることで、「長い間悩まされていた胸痛が治りました」との声を多くいただいています。
今年度もさらに質の高い先進的医療の実践と地域医療への貢献を目指し、精力的に診療に努めてまいります。